ポリ(4-ビニル安息香酸メチル)の共重合体はヒドラジンと反応して側鎖にヒドラジド構造を持つポリマーを与えた。これをアセトニトリルと水の存在下でオクソンによって酸化したところ、ジアシルヒドラジン構造を形成して架橋した。この架橋体を次亜塩素酸ナトリウム水溶液で酸化分解し、ついで、ジアゾメタンでメチルエステル化したところ、元のポリマーが再生し、酸化反応だけで架橋と脱架橋が可能な系を見出した。イソシアナートとヒドラジドは容易に反応してアシルセミカルバジドを与えた。これを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理したところ、直ちに酸化分解してカルボン酸を定量的に与えたが、アミン側は反応条件下でさらに酸化を受けた。ビス(ヒドラジド)とジイソシアナートとの重縮合を行ないポリ(アシルセミカルバジド)を合成した。ビス(ヒドラジド)の溶解性が高い場合に高分子量のポリマーが得られた。ポリマー溶液から、キャスト法により強度の高い自立性のフィルムが得られた。このフィルムは次亜塩素酸ナトリウム水溶液で容易に酸化分解した。この反応を利用すれば、ポリウレタンに酸化分解性を付与できると期待できる。ジアシルヒドラジン構造を有するビスフェノールを酸化カップリング反応により合成した。これは次亜塩素酸ナトリウム水溶液で容易に酸化分解した。このビスフェノールを硬化剤として用い、イミダゾールを触媒としてビスフェノールA型のエポキシ樹脂の硬化を検討したところ、高強度の硬化体が得られた。この硬化体はそのままでは極めてゆっくりとしか酸化分解しなかったが、DMAcで膨潤させた状態では速やかに酸化分解を受けた。すなわち、酸化分解性のエポキシ樹脂が得られた。
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