研究概要 |
本研究はモノマー間に2つのアミド結合を一挙に構築し、構造欠損がなく剛直な構造を有する「はしご型」ポリアミド(ラダーポリアミド)の新規合成法の開発を目的としている。そこでAB型モノマーを用いる重合の反応条件を最適化するためのモデル反応に用いる2つの基質の大量合成を行った。まず2,4-ジメチルニトロベンゼンを硫酸中で硝酸を用いてニトロ化してジニトロ体とし(収率46%)、硫酸中で酸化クロム(IV)により2つのメチル基を酸化して4,6-ジニトロイソフタル酸へと導いた(収率75%)。さらにメタノール中で水素とパラジウムーカーボンを用いた水素添加により2つのニトロ基を還元してジアミンとし(収率99%)、1,4-ジオキサン中でトリホスゲンを用いて酸無水物構造を2つ同時に構築した(収率70%)。トリエチルアミン存在下メタノールを用いて両方の酸無水物構造を開環してジメチルエステル体へと導き(収率79%)、2つのアミノ基をオクタナールと還元剤を用いてN-オクチル化し(収率93%)、再度トリホスゲンを作用させて酸無水物構造を2つ構築した(収率97%)。DMF-THF混合溶媒中、4-(ジメチルアミノ)ピリジン存在下でジエチルアミンと反応させて片方の酸無水物構造を選択的に開環させてモノアミド体とし(収率88%)、ジクロロメタン中でピリジンと塩化アセチルによりアミノ基をアセチル化して反応基質Aを得た(収率61%)。またトリエチルアミン存在下で基質Aにメタノールを作用させて酸無水物構造を開環することにより基質Bを得た(収率95%)。
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