本研究はモノマー間に二つのアミド結合を一挙に構築し、構造欠損がなく剛直な構造を有する「はしご型」ポリアミド(ラダーポリアミド)の新規合成法の開発を目的としている。そこでAB型モノマーを用いる重合の反応条件を最適化するために、前年度に合成したN-オクチル-4-(N-オクチルアセトアミド)-5-ジエチルアミノカルボニルイサト酸無水物(1)およびN-オクチル-4-(N-オクチルアセトアミド)-5-ジエチルアミノカルボニルアントラニル酸フェニルエステル(2)を用いたモデル反応を検討した。塩基としてリチウムヘキサメチルジシラジドおよび添加剤としてTMEDAを用い室温で2時間反応させたところ、1と2が一本のアミド結合で結ばれた生成物3が30%および1の酸無水物構造が分解した副生成物4が42%で得られた。しかし1と2が二本のアミド結合で結ばれた目的物5は得られなかった。一方、80℃で3時間加熱した反応では目的物5を41%の収率で得ることが出来た。そこで反応温度を70℃に下げ、反応時間を15時間にしたところ、目的物5を51%、副生成物4を40%の収率で得た。次に4の生成を抑制し、5の収率を向上させて反応を最適化することを目指し、添加剤なしの反応や塩基としてナトリウムヘキサメチルジシラジドやカリウムヘキサメチルジシラジドを用いた反応を検討した。しかし目的物5の収率は22-46%であり、反応副生成物である4が36-43%の収率で得られ、4の生成を抑制することが出来なかった。
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