研究課題/領域番号 |
20550116
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
瓜生 敏之 高知工科大学, 工学部, 副学長 (80011005)
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研究分担者 |
小廣 和哉 高知工科大学, 工学部, 教授 (60170370)
吉田 孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (40166955)
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キーワード | セルロース / アモルファスセルロース / 結晶領域セルロース / 高温高圧処理 / 水蒸気爆砕 / 水素結合 / エタノール / 木材含有糖鎖分子 |
研究概要 |
木材含有糖鎖分子を加水分解して糖質分子を作り、更に発酵させてエタノールを製造するのが目的である。木材中にはキシラン、アモルファスセルロース、および結晶領域セルロースの3つの加水分解性の異なる糖鎖分子が含まれる。この内、キシランは希酸加水分解によって、そしてアモルファスセルロースは希酸加水分解および酵素分解によって、それぞれ構成糖であるキシロースおよびグルコースを与える反応がほぼ確立している。結晶領域セルロースにはグルコース単位の持つ水酸基による強固な分子間水素結合が働いて、殆どすべての試薬の侵入を許さない。従って、加水分解反応後、結晶領域セルロースは残存する。 本研究では、分子間水素結合を弱化する唯一の手段と考えられる高温処理によって、結晶領域セルロースを加水分解しようとする。最初に、静置法による260℃の高温高圧水処理を市販ミクロクリスタリンセルロースに施した。反応は全く起らなかった。高温において拡がった状態の分子間水素結合にシェアを掛ける方法として、水蒸気爆砕がある。木材や葉茎に水蒸気爆砕処理し、主に繊維の分離およびリグニン除去が以前から行われている。竹繊維など繊維状物質が生成し、セルロース主鎖の切断は起らない。 本研究では、水蒸気爆砕管を製作させ、これを350℃まで昇温可能なオートクレーブに接続した。200℃〜300℃までの温度範囲でミクロクリスタリンセルロースを高温高圧処理し、水蒸気爆砕した。得られた生成物の物性、分子量、構造などを調べている。セルロース分子束の解離および高温暴露によるセルロースの加熱分解が起ったことが分った。
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