研究課題/領域番号 |
20550120
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中本 義章 金沢大学, 自然科学研究科, 特任研究員 (20019772)
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研究分担者 |
山岸 忠明 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90220251)
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00447682)
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キーワード | カリックスアレーン / シクロデキストリン / ククルビツリル / ホストーゲスト包接錯体 / 環状ホスト分子 / 電子移動 / 蛍光 / π共役ポリマー |
研究概要 |
生体は、自己組織的にミセルやチューブ状などの、精微でソフトな分子・ナノレベルの超分子構造を形成し、それにより、生命活動に不可欠なエネルギーや情報め保存・伝播等、極めて高度な機能を発現している。このような機能を示す超分子は、分子間相互作用により多数の分子から構成されている。さらに、より高機能で精巧な超分子の形成には、"鍵と鍵穴"の関係にある特異的な水素結合や、1種ではなく多種の分子間相互作用が多点的に働く必要がある。本研究では、ククルビツリルに包接されるカチオン性分子であるビオロゲン基と、シクロデキストリンに包接される疎水性分子であるベンジル基を側鎖に有する新規π共役高分子ポリチオフェンの合成を行った。得られたポリチオフェンにシクロデキストリンを添加すると、ポリチォフェン由来のUV吸収が短波長シフトした。またククルビツリルを添加すると、ポリチオフェンのUV吸収は、シクロデキストリンの場合と同様に短波長シフトした。ホスト分子が側鎖のゲスト部位を包接することにより、ポリチオフェン主鎖のひずみが大きくなり、平面性が減少したため、短波長シフトしたと考えられる。また、ククルビツリルを添加した場合のみ、蛍光発光が増加した。ビオロゲン基は電子アクセプター基であり、電子リッチなπ共役高分子であるポリチオフェンと、電子移動が起こると考えられる。今回合成したポリマーは、ビオロゲン基がポリチオフェンの側鎖に共有結合により導入されているため、より効果的に電子移動が起こり、蛍光が消光する。そこに、ビオロゲン部分を包接するククルビツリルを添加することにより、ビオロゲンからポリチオフェンへの電子移動が遮断され、その結果蛍光発光が増加したと考えられる。
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