研究概要 |
現在、ポリマーファイバー及び高分子導波路による光通信,光配線の普及のために、相性のよい有機固体レーザー素子が望まれている。本研究は、「光捕集型デンドリマー」の光機能材料への応用を目標とし、新規デンドリマーを合成し、その光捕集機能を分光学的な特性から評価を行い、さらに光励起による有機固体レーザー素子への展開を目指すものである。本年度は、これまでにこれまでの研究で得られているデンドリマーの合成法を展開していき、新規な「光捕集型デンドリマー」の合成を行い、その分子内エネルギー移動について詳細に検討を行った。 アントラセンを基本骨格とする新規な光捕集クロモフォア(ドナー)ユニットとエネルギーアクセプターユニットであるペリレンを、予め数種類合成を行い、様々な組み合わせにより分岐構造が異なった「光捕集型デンドリマー」の合成を行った。これら合成したデンドリマーのアントラセンクロモフォアを選択的に励起したところ、アントラセンの蛍光はほとんど消光され、エネルギーアクセプターであるペリレンに由来する蛍光のみが観測された。また、励起スペクトルの測定を行ったところ、すべてのデンドリマー分子においてアントラセンの吸収に相当したスペクトルが観測された。これらの結果は、光捕集型デンドリマー分子内において、デンドロン部からコア部への効率のよいエネルギー移動が生じていることが示された。
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