(1)非線形性を持つ自律運動素子の複数の結合による集団挙動 これまで2つの自律運動素子の結合による、位相差一定モードと振動モードのモード変化について実験的な制御と数値計算による再現を行ったが、数十個のレベルで結合したところ、疎密波の伝播やクラスターモードの存在を見い出した。従来の数理モデルを改良したところ、渋滞の数理モデルに書き換えることができることがわかった。つまり本実験は交通渋滞だけでなく、生物の集団挙動を理解する上で、適切なモデル実験系になることが示唆された。 (2)酸化還元反応と結合した自律運動素子の時空間発展現象 これまで中和反応や錯体形成反応と結合した自律運動系について報告したが、本研究では酸化還元系としてベンゾキノンを用いたモードスイッチングを見い出し、還元剤の強さに依存した運動の様相の変化と反応機構の分光学的な追跡結果を報告した。ベンゾキノン系の発見により、光化学反応、電気化学反応系、及び生化学反応系へと発展することが期待できる。 (3)光化学振動反応の空間結合による位相波の伝播挙動 初期位相差を光制御することが可能である光ベローゾブ・ジャボチンスキー反応を用いて、結合振動子系として空間結合による時空間発展現象の実験と理論の研究を行ったところ、「場の同時振動」と、「結合点での位相波の伝播」の2つの様相が生じることを見い出し、新たなギャップの性質を見い出した。
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