研究概要 |
本研究は、種々のαフタロシアニンを燃料電池カソード極に担時する手法の確立を行い、それによって得られたカソード極の酸素還元特性を評価し、中心金属によって異なる触媒活性の比較検討とα相のカソード電極作動時の耐久性評価を行うことを目的として行った。 研究実施計画として挙げた4つの手法によるα相の形成は以下の(1)〜(4)の結果となった。 (1)有機酸電解浴中での電気泳動析出法によってガス拡散電極上に作製したαフタロシアニンを用いた活性比較の結果は、電気泳動析出結果が中心金属に依存するものであったため中心金属の種類による活性評価とはならなかった。(2)一方、有機酸溶液を塩基性水溶液表面に展開して作製するスプレッド中和法では、塩基性溶液類によって得られる結晶相が異なり、強塩基のNaOH,KOH水溶液を用いることで、効率よくαフタロシニンが形成されることが分かった。これによって得られたαフタロシニンの分子間距離をXRDにより求め、約4Aであることを確認した。さらに、強塩基水溶液中に高表面積カーボンを分散させて得たαフタロシアニン担時カーボンを用いて作製したガス拡散電極による活性評価により、αコバルトフタロシアニンが広範囲の過電圧領域で良好な酸素還元特性を示すことを見出した。(3)また、湿式合成法を用いての温度による結晶相の分別を試みたが、α相の単分離が困難であった。 (4)α相への変換を目的にしてβ相粉末に対して行ったアンモニア処理でも、αフタロシニンは得られなかった。さらに、αフタロシニンの耐久性の評価では、雰囲気によって異なる結果が得られており、評価条件等を検討中である。
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