21年度は複数の色素分子(ピレン)を導入したRNA核酸の電子移動消光とそれらの固定化電極を作成し光電変換機能に検討を行った。その結果、下記の成果を得た。 1. 自己組織化ピレンアレイの光電子移動消光過程:マルチピレン修飾RNAと相補的な塩基配列を持つRNAとのらせん形成により形成したピレンアレイから出るエキシマー蛍光の電子移動消光をメチルビオロゲンにより検討した結果、ピレンの数に応じてStern-Vomer定数は増加した、この事実は励起エネルギーがピレンアレイ上で非局在化しており、ピレンの増加に伴うアレイの拡張により非局在化が顕著になることを意味している。 2. ピレンアレイ固定化電極の作成:金表面にピレンナノ組織体RNAの自己組織化膜を作成するに当たり、光電変換過程でのピレンナノ組織体間での自己消光や電子ホッピングを避けるため、ピレンナノ組織体RNAが比較的低密度に担持された均質な膜の作成を目指した。作成した固定化電極について、ピレンナノ組織体RNAの担持量、膜中のディフェクトの有無について評価した結果、比較的良好な単分子膜が形成できることが明らかになった。 3. ピレンアレイ固定化電極の光電特性:光照射用セルにピレンナノ組織体RNAを固定化した金電極を装着し、固定化金電極を作用極とする三電極法により電子キャリアを含む水溶液中で膜中のピレンの選択的光励起により発生する電流を測定したところ、光電流が発生することを確認した。現在のところ、変換効率は小さくピレンの数に応じた光電応答は確認できていない。今後、変換効率の向上に向け、諸条件の最適化を行う予定である。
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