22年度は電子ドナーとしてピレン、電子アクセプターとしてニトロベンゼンを核酸上に配列させたヘテロ接合ドナー・アクセプターアレイ、およびナフタレンジイミド(NDI)を核酸を鋳型にして配列させたNDIアレイを構築し、その光機能について検討した結果、下記の成果を得た。 1. ピレンを電子ドナー、ニトロベンゼンを電子アクセプターとしてこれらをRNA上に配列させたバイアレイの構築に成功した。構造解析の結果、ピレンは二重らせんの副溝に配列し、ニトロベンゼンは主溝に配列していることがわかった。さらにピレンの選択的光励起によりピレンからニトロベンゼンへの電子移動が起こることを確認し、RNA上で電荷分離状態が生成していることを明らかにした。 2. NDI誘導体を構成単位としてDNAを鋳型にしたNDIアレイの構築に成功した。このNDIアレイを金表面に固定化した修飾電極を作製し、固定化金電極を作用極とする三電極法により電子キャリアを含む水溶液中で膜中のNDIの選択的光励起により発生する電流を測定したところ、光電流が発生することを確認しNDIアレイが良好な電荷移動媒体となり得ることを明らかにした。
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