研究課題
平成20-21年度には、集光レーザーの光圧を生成した結晶近傍に作用させる事により、結晶成長を誘起し、その成長方向をコントロールすることに成功している。同時に、光圧によりオストワルド熟成を誘起することにも成功した。さらに、レーザーをグリシン重水溶液の固液界面に集光することにより、集光点を中心に液一液相分離を経由したミリメートルオーダーの高濃度液滴が形成可能であることを見出し、本液滴形成が遠距離結晶成長誘起の原因である重要な結果を得てきた。これらの結果を踏まえ、本年度は高濃度液滴の成長をコントロールし、またオスドワルド成長により液滴を自由に操作することに成功した。まず、レーザー光強度、溶液初期濃度を調節することにより、液滴形成速度、体積を制御することに成功した。続いて、集光レーザービームを作製した高濃度液滴の外側に作用させることにより液滴を操作した。本液滴操作のメカニズムとして下記の二つの要因を考察している。一つ目は、クラスターの光捕捉により焦点近傍に高濃度領域が形成され、液滴が集光軸方向へ成長する。即ち、結晶におけるオストワルド成長の利用である。二つ目は、集光点での局所的な温度上昇が誘起する対流の効果である。いずれも、集光点で起こる現象が外側にまで広がり、結晶成長を制御するための重要な知見が得られた。加えて、このような液滴成長、操作一連の動作は、溶液中に分散している分子クラスターを大量に集め輸送する技術、すなわちミリメートルスケールでの分子操作とみなすことができ、高濃度液滴の新しい応用展開のブレークスルーとなり得る。
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