本研究の目的は「廃材の再利用による多孔質木質系炭素材料をVOC及び臭い物質の吸着剤に利用するための迅速評価法の確立」である。平成21年度は木質系多孔質エコマテリアルのVOC吸着特性の迅速評価法及びVOC脱着特性の迅速評価法、の2点について評価方法の改良と時間の短縮を目指し、適用範囲の拡大を図ることであった。 今年度得られた成果として、吸着、脱着共にVOC成分が2成分共存する系において100分で評価できる方法が確立できた。また建築廃材やオカラ等から調製したウッドセラミックス(多孔質炭素材料)の表面処理や熱処理によってVOCに対する選択性が得られることがわかってきた。さらに高分子分析への適用を行った。 これらの成果は6つの国際学会及び5つの国内学会においてあわせて15件の報告を行うことができた。また、学会以外に西本は昨年度と同様に2件の講演(エコマテリアルフォーラムグリーン購入法を促進するリサイクル技術および製品の調査2009ワーキング、神奈川大学湘南ハイテクセミナー)を行っている。この報告件数は計画を上回るものである。さらに評価法について図書(熱量測定・熱分析ハンドブック及び高分子分析入門)でも紹介することができた。現在機能水や各種処理を用いた消臭効果について評価をはじめており、論文3報はこの関連である。さらに鉄鋼協会の評価・解析・分析部会において津越3回、西本1回の招待講演を行っている。
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