研究概要 |
タイプ3の分解性両親媒性化合物の合成を行い、平成20年度で合成したタイプ1,2ともに界面物性を測定する。 まずタイプ3では、酒石酸と長鎖ケトンをトルエン中、酸触媒存在下、脱水縮合反応させ、1,3-ジオキソラン環を有する中間体を合成した。精製は、クーゲルロール蒸留法により行った。収率は、約80%であった。続いてポリオキシエチレン鎖を親水基とする酸分解性非イオン両親媒性化合物の合成を試みたが目的物は得られなかったので、当初の予定通り、親水基をPEG400からジエタノールアミンに変えて合成を試みた。中間体とジエタノールアミンをメタノール中で反応させることによりアミド型非イオン両親媒性化合物を合成することができた。精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った。収率は約70%であった。 すべての分解性両親媒性化合物のcmcは、通常型に比べ、低い値を示したことから、これらは良好なミセル形成能を有していることがわかった。起泡力は、タイプ1では、泡立ち、泡安定性に優れていたが、タイプ2,3は泡立ち、泡切れに優れていた。流動パラフィンや大豆油による乳化力は、通常型の界面活性剤と同程度であり、大豆油の方が流動パラフィンよりも安定であった。酸による分解特性では、タイプ1,2は、1M HC1では添加直後、pH3で約5時間後にほぼ完全に分解することを確認した。タイプ3は、分解が遅く1M HC1で約1日必要であった。タイプ1,2の4週間後の生分解度は、60%以上と良好であり、通常型の界面活性剤よりも優れていたが、タイプ3では、通常型よりも低い結果となった。水溶液系での凝集体サイズをDLSで測定した結果、タイプ1は約20nmであったので、球状ミセルやベシクルではなく、棒状ミセル形成していると考えられる。タイプ3の二鎖型タイプは約200nmであったのでベシクル形成していることが判明した。
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