土壌/底質中のジチゾン抽出によるメチル水銀定量が、抽出操作に使用する薬品の洗浄操作など大きく改良され、ブランクをなくすことが出来るようになった。これにより飛躍的に定量限界が向上し、メチル水銀として0.1ng/g以下の定量を可能とした。 またこれまでに行った水銀模擬汚染土壌[100ppm]を用いた環境要因組み合わせ培養実験[2^3実験計画]の結果から、以下の事が確認された。 ・模擬汚染土壌を安定化処理が終了し、各土壌条件で総水銀濃度及びメチル水銀濃度が安定していても、周辺環境条件が変化すれば、それに伴ってメチル水銀は生成される。 ・組み合わせ要因、光、温度、土壌水分の中で、大きく土壌中のメチル水銀生成に寄与している環境要因は光条件であった。培養温度を国内夏季平均気温である25℃程度に設定しても、光が無ければ土壌中における水銀のメチル化反応は、統計上1%以下の危険率で進展しない。 ・土壌からの総水銀の溶出特性は、土壌種によって大きく異なり、赤黄色土壌の場合は初期の時点から溶出がはじまる。メチル水銀の溶出特性については次年度(22年度)にまとめて評価する。 ・土壌中のメチル水銀生成能は、従来から考察されているように、一見、土壌有機物含有量に比例しているように思われる。有機物の性質や特性に関する検討は、今年度は行うことが出来なかった、次年度以降土壌pH条件などをふまえ検討したい。 ・土壌水分については設定条件幅が狭かったためか、有意な差は認められなかった。
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