研究課題
細胞膜表層上の糖鎖に対する糖結合性タンパク質の認識性に及ぼす糖鎖密度の効果、特に糖鎖のクラスター化がその認識性に重要であるベロ毒素、インフルエンザウイルスが認識する糖鎖を合成し、細胞膜表層をモデル化した固体基板上に精密に構築することを目的としている。平成20年度は糖鎖固定基板へのベロ毒素の結合挙動をQCM基板上にてリアルタイムモニタリングすることができ、動力学的解析を行い結合性についての知見を新たに得た。すなわち、糖鎖の集合構造を認識する際に、その表面密度に大きく影響すること、また、糖鎖密度は同じでもクラスター化度の高い場合に、ベロ毒素の結合親和性が急激に増加することを明らかにした。特に詳細な動力学的解析により、結合速度定数の上昇ではなく、主に解離速度定数の低下に伴うことを初めて解明できた。また、SPMフォースカーブ測定により、ベロ毒素の糖鎖への結合親和性を検討したところ、糖鎖の集合性によって相互作用力の違いを観察することができた。この系においてはまだ、さらなる詳細な解析が必要である。
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J. Polym. Sci. A, Polym. Chem. 46
ページ: 1577-1585