光合成膜中での初期過程をになう膜タンパク質複合体(アンテナ複合体(LH2)および反応中心-アンテナ複合体(LH1-RC))の集合形態と機能との相関を明らかにするために、直接観察可能なプラットフォーム(固定化平面脂質二分子膜)を作成し、そこに膜タンパク質を組織化し、原子間力顕微鏡により直接観察する。平成20年度の成果は以下の通りである。(1)約5nm基板表面から膜を浮き上がらせるピラー構造を有する固定化脂質二分子膜を調製し、LH2およびRC-LH1をそこに導入することに成功した。これらの膜タンパク質は膜中で側方拡散性を示すことから、LH2およびLH1-RCからなる自発的な分子集合系を構築できることが可能となった。(2)原子間力顕微鏡(AFM)により、分子レベルでの膜タンパク質観察に成功し、膜タンパク質分子集合系の直接観察が可能となった。上述の固定化脂質二分子膜中にLH2およびLH1-RCが導入されていることがAFMにより明らかとなった。(3)アンテナ系ポリペプチド部分を遺伝子工学により融合タンパク質として発現し、その色素との複合体形成能を評価し、原子間力顕微鏡による直接観察により確認できた。
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