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2008 年度 実績報告書

高機能酵素変異体の創製と合成化学的応用

研究課題

研究課題/領域番号 20550152
研究機関岡山大学

研究代表者

依馬 正  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20263626)

キーワード酵素反応 / 進化 / 合成化学 / エナンチオ選択性 / 変異 / 遷移状態 / 光学活性アルコール / フッ素
研究概要

汎用生体触媒(基質適用範囲の広い酵素)であるリパーゼとカルボニル還元酵素を合理的変異導入あるいはランダム変異導入により進化させて高機能化するとともに、有用な光学活性化合物を不斉合成する目的で研究を進めたところ、以下の3つの研究成果を得た。(1)リパーゼの合理的進化:X-線結晶構造とメカニズムに基づいて、リパーゼの活性部位近傍に点変異を導入し、合理的にエナンチオ選択性を向上させた。本来リパーゼが苦手とする基質に対して触媒活性とエナンチオ選択性の両方を同時に向上させるために、287番目のアミノ酸残基と290番目のアミノ酸残基(イソロイシン)を順次、別のアミノ酸に置換した。その結果、触媒活性が約10倍、エナンチオ選択性が約50倍以上も向上した二重変異体酵素を取得することに成功した。これほど大きく触媒活性とエナンチオ選択性の両方を向上させた例は皆無であり、現在、その機構的検証作業を行っている。(2)カルボニル還元酵素のランダム変異導入による進化:ランダム変異導入とスクリーニングを組み合わせた進化分子工学的手法により酵素を進化させるべく研究した。ランダム変異導入は、error-prone PCR法により行った。96穴マイクロプレート中で菌体を一挙に振とう培養した後、基質(ベンゾイル蟻酸メチル)を添加して不斉還元反応させた。変換率は、オートサンプラーとオートインジェクターを取り付けたガスクロマトグラフを用いて効率よく自動分析した。現在までに、約2,500個の変異体をスクリーニングし終わったが、野生型酵素を上回る変異体酵素を見付けていない。現在、やり方を少し変えながら実験を継続している。(3)ジフルオロメチレン基を有する光学活性アルコールの不斉合成:カルボニル還元酵素を高発現する遺伝子組換え大腸菌を用いて、ジフルオロメチレン基を有するケトンを不斉還元することにより対応する光学活性アルコールを不斉合成した。光学純度は非常に高く、99%ee以上であった。生産性は極めて高く、200g/L程度の基質濃度でも変換率は100%に達した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 二重変異導入によるリパーゼのエナンチオ選択性の合理的向上2009

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 鎌田修輔, 武田匡弘, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学(船橋)
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] gem-ジフルオロ化ケトンのバイオ不斉還元2009

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 穐原久美子, 門屋太郎, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学(船橋)
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] カルボニル還元酵素を用いた有用キラル化合物群の不斉合成2008

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 井手彩矢佳, 門屋太郎, 穐原久美子, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      第12回生体触媒化学シンポジウム
    • 発表場所
      東邦大学(習志野)
    • 年月日
      2008-12-04
  • [学会発表] カルボニル還元酵素を用いたジフルオロメチレン基を有する光学活性アルコールの合成2008

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 門屋太郎, 穐原久美子, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      第12回生体触媒化学シンポジウム
    • 発表場所
      東邦大学(習志野)
    • 年月日
      2008-12-04
  • [学会発表] 点変異導入による酵素の触媒活性とエナンチオ選択性の制御2008

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 鎌田修輔, 武田匡弘, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      第3回バイオ関連化学合同シンポジウム
    • 発表場所
      東京工業大学(横浜)
    • 年月日
      2008-09-19
  • [学会発表] 遺伝子組換え大腸菌を用いた医薬中間体の不斉合成に関するプロセス研究2008

    • 著者名/発表者名
      依馬正, 井手彩矢佳, 沖田修康, 是永敏伸, 酒井貴志
    • 学会等名
      第3回バイオ関連化学合同シンポジウム
    • 発表場所
      東京工業大学(横浜)
    • 年月日
      2008-09-19
  • [備考]

    • URL

      http://achem.okayama-u.ac.jp/soc/index.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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