二量体リガンドによる受容体の多量体構築を検討する目的で、新たにホルミルペプチド受容体FPR2サブタイプ選択的アゴニストTrp-Lys-Tyr-Met-Val-Met (WKYMVM)の二量体を合成した。その他、FPR1アゴニストダイマーBoc-Met-Leu-Phe-OH、及びFPR1とFPR2アゴニストダイマーBoc-Phe-D-Leu-Phe-D-Leu-Phe-OHとTrp-Arg-Trp-Trp-Trp-Trpの生物活性評価を評価した。特に、FPR2サブタイプ選択的アゴニストTrp-Lys-Tyr-Met-Val-Met (WKYMVM)の二量体(Trp-Lys-Tyr-Met-Val-Met-(Gly)_n-Cys)_2(n=0-3)においては、2つのペプチド間の距離が短いほど高活性であった。また、二量化したペプチドはサブタイプ選択性を保持していることも確認された。さらに、研究機関の1、2年目に見いだしたヘテロ受容体タンパク質構築を検討した。これまでにFPR1受容体の第4膜貫通ドメインが好中球の高度活性化(プライミング)を引き起こすことを見いだしている。今回、ヘテロに二量化した受容体間の相互作用を検討する目的で、ヘテロ膜貫通ペプチドの開発をおこなった。ヘテロ膜貫通ペプチドとして、3つのFPRサブタイプの第4膜貫通ドメインをヘテロに架橋した。調製した化合物は、FRP1とFPR2、FRP1とFPR3、FRP2とFPR3のそれぞれの第4膜貫通ドメインのヘテロダイマーである。ヒト好中球の活性酸素放出能で評価したところ、予め膜貫通ドメインのヘテロ二量体で細胞を処理した後、好中球の代表的なアゴニストfMLPを投与したところ、二量体処理のない細胞と比較して約2倍の活性酸素を放出することを見いだした。膜貫通二量体の作用機構を調べる目的で二量体に光架橋剤p-benzoyl-phenylalanine (Bpa)を含むペプチドを再合成し、相互作用するタンパク質を調査したところ、ホルミルペプチド受容体と同じ分子量をもつタンパク質を特定した。
|