研究概要 |
電気化学法による遺伝子検出やバイオセンシングは、簡便で安価な実用的手法になりうるので、国内外で活発な研究開発が行われている。従来から、電気化学法を基盤としたDNAチップやバイオセンサーは数多く考案されているが、検出には、1)レドックス試薬や触媒を添加する必要がある、2)洗浄操作が必要である、3)検出対象のラベルが必要である、4)レドックスプローブの設計と合成が難しい、などの問題点を有していた。 そこでわれわれは、電気化学遺伝子検出やバイオセンシングのためのレドックスレポーターとしてアントラキノン(AQ)に着目し、遺伝子検出用AQ修飾DNAプローブやバイオセンシングのためのAQ修飾核酸アプタマーを金電極上に固定化したチップを作成し、種々の検討を行った。 その結果、DNA鎖交換反応を利用した遺伝子内の一塩基の違いを区別して検出する電気化学検出法を見いだした。比較的長鎖の一本鎖DNAを検出対象にしても良好な検出感度で一塩基変異の存在を見分けることができた。また、レドックス修飾核酸アプタマーチップを用いて複数のタンパク質を一つのチップ上でそれぞれ区別して検出することにも成功しつつある。 遺伝子検出とバイオセンシングのいずれにおいても、検出時に、レドックス試薬や触媒の添加が不必要であること,洗浄操作や検出対象物質のレドックスラベルが必要ないことから実用的な方法論として発展させていけるものと考えている。
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