研究概要 |
1)ステロイド骨格を有するαGlcNAc誘導体のライブラリー化とその評価 まず、αGlcNAcを構築する新規なグリコシル化法の開発を行った。Yb(OTf)_3とBF_3・OEt_2からなる混合活性法を用いて、2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-2-デオキシ-2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ-D-グルコピラノシルアセテートを各種のアルコールと反応させたところ、かさ高い第一級アルコール、第二級および三級アルコールやフェノール類では、対応するα-グリコシド体が選択的に得られることがわかった。また、2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-2-デオキシ-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-D-グルコピラノシルアセテートを用いても、これらのアルコール類と同様に反応して高い選択性でαグリコシドが得られることを明らかにした。次に、アルコールとしてステロイドの一種である3βコレスタノール、コレステロールやエストラジオールを用いて同様に反応したところ、コレステロールでは副反応が進行して、対応するグリコシドは低収率でしか得られなかったが、3βコレスタノールやエストラジオールでは高収率でグリコシド体が得られた。これらは抗ピロリ菌活性評価に利用する。 2)シクロデキストリン(CyD)上へのαGlcNAc残基の集合化 糖クラスター効果による抗ピロリ菌活性の増強を目指し、CyD上へのαGlcNAc残基の集合化を検討した。モデル反応として、アルブチン(4-ヒドロキシフェニルβ-グルコピラノシド)から誘導されるアセチレン基含有化合物とヘプタアジドCyD誘導体とをクリック反応で縮合したところ、速やかにグルコースがCyDの一級水酸基上に七置換した集合体が得られることを見出した。クリック反応がCyD上への糖分子集合化に有効で、αGlcNAc化合物を用いた反応に応用する。
|