有機EL素子に用いられているキャリア輸送分子に対して、振電相互作用定数を分子軌道法ならびに密度汎関数法により求め、得られた結果を振電相互作用密度の概念を用いて解析した。これらの差電子密度を原子上に局在させ、差電子密度分布が全体としては対称になるように分子設計することにより、振電相互作用を抑制し、高移動度かつ低消費電力が実現可能であることが示唆された。また、差電子密度分布において、電子-ホール相互作用や電子-電子相互作用がきわめて重要であることが分かった。得られた分子設計指針に基づき、新規なホール輸送分子ならびに電子輸送分子を設計し、振電相互作用定数計算を行うとともに非平衡Green関数理論に基づく計算により、高効率キャリア輸送分子として期待できることを示した。
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