研究概要 |
本研究では、代表研究者らが最近見出した「温度変化による荷電コロイドの結晶化」技術にもとづき、金属・半導体材料の単結晶化/高純度化に用いられる熱アニール法および帯域融解(ゾーンメルト)法を荷電コロイド結晶に対して適用することで、結晶グレイン境界・転移構造等の、種々の結晶格子欠陥を除去する手法を確立することを目的としている。得られた高品質コロイド結晶は、光学材料等へ応用可能である。本年度は次の検討を行った。 (1)帯域融解装置による大型結晶作成および不純物排除の検討 帯域融解装置を用いて、冷却素子を一方向に移動させ結晶格子欠陥の除去を検討した。加熱により結晶化する、ピリジン共存シリカコロイド分散系(粒子直径=100nm)を用い、1cm角の結晶の作製に成功した。また、サーモグラフィーによる温度分布を詳細に測定し、結晶成長曲線と比較することで、熱伝導による結晶化を確認した。蛍光微粒子を共存したシリカコロイド系で、光学顕微鏡法による不純物排除を検討した。結晶成長に伴う不純物粒子の排除が確認できた。 (2)結晶の固定化による自立材料の作成 本研究者らがすでに確立している手法を用い、結晶構造を高分子ゲルによって固定化した。ゲル化剤(ゲルモノマー:N-メチロールアクリルアミド、架橋剤:N,N'-メチレンビスアクリルアミド、光重合開始剤:ジアゾ系の水溶性ラジカル重合開始剤)を添加した系で、紫外線照射により媒体をゲル化し、結晶構造を固定できた。
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