研究概要 |
本研究では色素増感太陽電池の実用化にあたって、白金対極材料に代わる非白金系材料であるカーボン対極材料の開発を目指して研究を行っている.特に,カーボンナノシェル(中空球状のシェル構造を持つカーボン粒子)はグラフェンに欠陥が多く,触媒活性点であるエッジが多く存在すると報告されている.そこで、21年度では含窒素化合物として鉄フタロシアニン(CPFe)や銅フタロシアニン(CPCu)を用いてフルフリルアルコールを加熱重合し,これをHe雰囲気下,700℃で焼成をすることによって炭素化してN-ドープカーボンナノシェルを合成した。これを対極に用いたセルを作製し、そのセル性能を検討することを目的とした. TEM,XRD測定により、合成したカーボンがナノシェル構造を持つことが確認された.CPCuを用いて合成したN-ドープカーボンナノシェルはアモルファスな構造で、CPFeを用いた方はよりグラファイト構造をしていることがわかった。このためCPCuに比べCPFeを用いて合成した方がグラファイト構造を取りやすくシェル構造を形成しやすいと考えられる。また、対極の性能評価をするため、交流インピーダンス測定を行った。その結果、CPFeとCPCuで合成したカーボンナノシェルはKBに比べて円弧が小さくなり、特にCPFeで合成したカーボンナノシェルの抵抗が大きく減少していることが分かった。また、合成したカーボンナノシェルを用いて作製したセルの方が、KB単体を対極材料として用いたセルに比べて、電池性能が良いことが明らかになった。現在、B-ドープしたカーボンナノシェルの合成を行っている。
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