研究概要 |
本研究では色素増感太陽電池の実用化にあたって、白金対極材料に代わる非白金系材料であるカーボン対極材料の開発を目指して研究を行っている。そこで、21年度に引き続き22年度においても金属フタロシアニン鉄(CPFe)及び銅(CPCu)より窒素ドープカーボンナノシェルを合成し、これを対極材料に用いたセルを作製し、そのセル性能を検討するとともに従来から改良を行っているClO_4-ドープpoly(3,4-ethylenedioxythiopheneにカーボン微粒子を添加した複合膜(PEDOT-ClO_4-/C)を対極材料として用いた太陽電池の性能のさらなる向上を目的とした。 合成した窒素ドープカーボンナノシェルの対極材料の性能評価を交流インピーダンス法で評価した結果、CPFeを用いて合成した窒素ドープカーボンナノシェルの抵抗が大きく減少していることが分かった。 そこで、この対極材料を用いてセルを作製し、電池性能を測定した。変換効率2.07%を得た。さらに窒素ドープ量を増やし、変換効率を向上させるために、別の手法を用いて窒素ドープカーボンナノシェルを合成している。一方、PEDOT-Cl04-/C複合材料を対極材料に用いて作製したセルの性能は変換効率4.05%を得た。この性能の向上をインピーダンス法により検討し、PEDOT-ClO_4-/C複合膜一電解質界面抵抗が減少し、フィルファクターが向上したことによることを明らかにした。PEDOT-ClO_4-/C複合膜を用いたセルの性能は対極材料に白金蒸着を用いた太陽電池の性能の85%に相当し、製造コストの削減に寄与するものと思われる。
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