研究概要 |
本研究では、高い硬度を有するNi合金(Ni-B,Ni-P,Ni-W)を金属マトリックスとした高い硬度を有するダイヤモンド及びSiC等の粒子との超硬複合めっき皮膜の作製法を確立し、以下の研究成果が得られた。(1)二段階法によるNi-B/ダイヤモンド複合めっきでは、第一段階で泳動電着法により数十ミクロンの厚さのダイヤモンド粒子薄膜を作成し、第二段階で無電解めっきによりNi-B合金めっきを行ないNi-B/ダイヤモンド複合めっき皮膜を作製した。得られた皮膜の硬度は1900Hvであったが、300℃で1時間加熱処理することにより湿式法で得られた最も高い2,500Hvであった。(2)沈降共析法によるNi-P/ダイヤモンド複合めっきでは、第一段階で基板上にダイヤモンド粒子を沈降させ、第二段階で定電位電解めっきによりNi-P合金めっきを行ないNi-P/ダイヤモンド複合めっき皮膜を作製した。得られた皮膜の硬度は1,700Hvであった。(3)めっき浴に微粒子を分散させ、定電流電解に基づく分散法によるNi合金複合めっきでは、加熱処理後の皮膜の硬度は、粒子の種類、合金の硬度と粒子サイズに依存し、粒子ではSiCよりダイヤモンド、合金ではNi-PよりNi-Bの複合めっきが高く、ダイヤモンドでは粒子サイズが大きい程高くなり、2ミクロンで2,300Hvであった。これらの被膜がこのように高い硬度を示したのは、(a)粒子間の隙間を高い硬度を有する合金が充てんした、(b)粒子含有率が最密充填に近い50~60vol.%に達した、(c)加熱処理によりNi_3B等の結晶粒が生成した等に起因すると結論された。
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