研究概要 |
本研究の門的は,水熱条件下で起こる構造遺伝的固相脱水反応を新しい合成ツールとして利用するため,そのような反芯を実現する因子やその反応で起こる構造組換えの方向(構造組換えがどの構造に向かって起こるのか)を決めるパラメータについて明らかにすることである.そのため,申請者が最近新たに見出した,水熱条件下で起こる構造遺伝的固相反応「CoMoO_43/4H_2Oが453K,ca.10気圧の水熱条件下で高圧相hp-CoMoO_4(従来法による生成では,873K.,5000O気圧の過酷な条件が必要)へ変化する脱水反応」と関連する種々のモリブデン酸塩水化物の水熱条件下での構造変化について調べている 本年度の研究では,昨年度の研究で明らかになったCoMoO_43/4H_2Oの結晶性による反応性の違いの原因を明らかにするとともに.(CoMoO_43/4H_2Oの水熱条件下での高圧相への構造転換反応のメカニズムを明らかにするため.水化物の構造転換に対する,水熱溶媒への種々の物質の添加効果や各CoMoO_4相の接種効果などについて調べた.その結果,高圧相への転換には酸が必要である(低結晶性のCoMoO_43/4H_2Oでは水熱処理時にMo成分が溶出し,それが酸として働き,高圧相への構造転換を起こさせた)ことがわかった.また,種々の検討の結果.高崖相への構造転換は,1)固相反応による高圧相の核の形成と2)その後の溶液を介した,高圧相核へのホモエピタキシャル析出によって進行するだろうと言うことがわかった.なお,各CoMoO_4相の接種効果について調べたところ,CoMoO_43/4H_2Oは酸のない水熱条件下では,接種相以外への相交差転換は起こらず.種結品へのホモエピタキシャル析出により高圧相以外の相も含め任意のCoMoO_4相へ転換させ得ることもわかった.これらの結果は学会発表で報告し.公開するとともに.論立により公開するため,投稿準備中である
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