本研究の目的は、ナノ秩序化された相分離構造を持つポリマーブレンドを前駆体に用いてナノ多孔質材料を創造することおよびそれを有用な機能性材料へと変換することである。本年度は、以下の項目について研究を行った。 1)前駆体であるナノ秩序化ポリマーブレンドの創出およびそのための高分子化合物の精密合成 2)大型放射光施設SPring-8における小角X線散乱実験(SAXS)を利用したポリマーブレンドのナノ空間構造の精密解析技術の確立 1)については、制御ラジカル重合法を用いることにより分子鎖の任意の位置に極性基をもつ高分子化合物の合成に成功した。さらに、得られた高分子のブレンド物は、極性基の位置を反映したナノ秩序化相分離構造が形成することを見出した。このナノ秩序構造は、極性基や高分子主鎖の化学構造、分子量、成分高分子間の偏析力を調節することにより任意に制御できた。ブロック共重合体やグラフト共重合体とポリマーブレンドの特徴を組み合わせた相転移を示すことを見出した。また、共重合体としての特徴とブレンドとしての特徴が競合する領域では、特異的な相転移現象が観察された。ブロック共重合体やグラフト共重合体に見られる特徴とポリマーブレンドの特徴を組み合わせた相転移を示すことを見出した。 2)については、測定データのS/N比を向上させるためのサンプルの雰囲気制御を行い、従来の測定結果と比較して格段に制度の高い実験結果を得ることに成功した。
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