研究課題
R-12-ヒドロキシステアリン酸(HSA)を添加したヒドロキシステアリン酸縮合物(PHSA)またはポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)について、HSAナノファイバーの形成を促進するために、種種の熱処理について検討を行った。その結果、示差走査熱量(DSC)分析や力学物性などのデータは間接的にHSAナノファイバーの形成を示唆したが、直接的な透過型電子顕微鏡(TEM)によるナノファイバーの観察には未だ成功していない。HSAナノファイバーの生成量が少なかったためと考えられ、PHSAの場合はHSAの溶解性が高いことが、PCLの場合はPCLの融点60℃以上の温度でHSAナノファイバーが形成されにくいことが要因として考えられた。そこで本年度は、まず、室温で液状の光硬化可能なバイオベース樹脂として大豆油エポキシ樹脂(ESO)を用い、ESOに光カチオン重合触媒とHSAを添加してゲル化後、室温にて光照射を行うことにより、HSA含有光架橋ESOを作製した。得られた硬化物のDSC測定の結果、HSAの融点よりも低い温度でHSAナノファーバーの等方性液体への転移が観測され、動的機械分析や引張り試験においてもHSA超分子ナノファイバーによる補強効果が確認された。さらに、TEM観察によりESOマトリックス中にHSAナノファイバー集合体が樹枝状に形成されていることを確認することができた。本成果は、我々の知る限りにおいて超分子ナノファイバーにより補強されたプラスチック材料の初めての例であり、有審査論文(J.Polym.Sci.Part B)に受理され、既に公開されている。
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Journal of Polymer Science, Part B : Polymer Physics 47
ページ: 669-673
Journal of Applied Polymer Science 108
ページ: 1596-1602