研究課題
ひまし油の分子内に約3つ存在する水酸基を開始点としてε-カプロラクトンの開環重合を行い、ひまし油変性ポリ(ε-カプロラクトン)(CO-PCL)を合成した。得られたCO-PCLにひまし油由来のR-12-ヒドロキシステアリン酸(HSA)を添加し、熱溶解した後、冷却することによりCO-PCL/HSA混合物を得た。レオメーターを用いてCO-PCL/HSAの熱溶融状態からの冷却過程を観察した結果、粘性が増大してゲル化することが確認できた。さらに、CO-PCL/HSAのDSCを測定した結果、HSAの融点よりも低い温度でHSAナノファーバーの等方性液体への転移が観測された。また、動的機械分析や曲げ試験においてもHSA超分子ナノファイバーによる補強効果が確認された。CO-PCL/HSAの光学および偏光顕微鏡観察を行った結果、熱溶融状態からの冷却過程において、HSAファイバーが成長することが確認できた。また、形成されたHSAファイバーは加熱することにより溶融し、再び冷却することで再生されることを確認した。本研究によるCO-PCL/HSA複合材料は、有機低分子化合物の自己組織化により形成されるファイバーを用いた今までにない新しい複合材料であり、マテリアルリサイクル可能や自己修復性など、今までの繊維補強複合材料にない興味ある特性をもっている。本成果については、有審査論文(J Polym. Sci. Part B)に受理された。
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Journal of Polymer Science, Part B : Polymer Physics VOL.48
ページ: 425-433
Journal of Polymer Science, Part B : Polymer Physics VOL.47
ページ: 669-673
http://www.ic.it-chiba.ac.jp/yo/