現在、地球温暖化が深刻な問題となっており、京都議定書に従い、各方面で温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減が試みられている。昨年度に引き続き、二酸化炭素を選択的に分離する有機無機ハイブリット膜を創製し、その分離特性の最適化を行うことを目的として研究を行った。高分子中に吸着微粒子を分散させる従来技術と異なり、単位体積あたりの吸着表面積を増加させるために、In Situ法により高分子中で分子サイズレベルの吸着部位を形成させようというものである。そのために、ミクロ相分離させずに分子サイズレベルで均一分散させたポリイミド・ポリメタクリル酸メチルブロックコポリマー膜のポリメタクリル酸メチルだけを炭化させて目的とする膜を形成させることを特徴とする。最終年度となる、今年度は計画通りに研究を進めることができた。昨年度までの研究成果を基に膜サンプルを調製して二酸化炭素の収着量測定実験と気体分離性実験を行った。そして、膜構造と二酸化炭素の収着および透過・分離特性との関係は、単純な各成分の組成比よりもむしろ膜の微細構造に関係することが明らかになった。この過程で、カーボン部位の増加とともに膜が脆弱となり、二酸化炭素の圧力を上げていくと吸着や透過実験に耐えられない問題点が発生した。しかしながら、一連の研究結果からポリイミド・カーボンハイブリット膜の強度の改善により二酸化炭素吸着分離特性を有する新規な膜が創製できる可能性が示唆された。
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