太陽電池は燃料を必要とせず、太陽光を照射するだけで半永久的に利用できるため、身近な電力源としての役割は大きい。太陽電池の効率は、禁制帯幅で決まる起電力と、禁制帯幅よりも大きなエネルギーをもつ太陽光を吸収して生成されるキャリアによる電流の積で決定される。両者の間にはトレードオフの関係があり、禁制帯幅が大きい材料では吸収できる光子数が少ないため電流がとれず、逆に電流を多くするためには禁制帯幅を小さくする必要がある。本研究では、高い起電力を保ち、かつ太陽光を有効に吸収できる半導体太陽電池材料として、禁制帯中に中間バンドを有する半導体混晶の作製とその太陽電池への応用を目的としている。 分子線エピタキシー(MBE)によってZnTe(001)基板上にZnTeO混晶を成長した。酸素源はO_2ガスをRFプラズマによって活性化したものを用いた。ZnTeO混晶成長層厚が600nmのサンプルのX線回折において逆格子マッピングを行ったところ、酸素組成が0.49%であることがわかった。さらにこの酸素組成および膜厚では、成長層の面内の格子間隔は基板とほぼ同じ6.104Åであることから、コヒーレントに成長していることがわかった。 成長した試料のフォトカレントスペクトルを測定したところ、バンドギャップ(2.2eV)よりも小さいエネルギー(2.0eV)の光によっても光電流が生成されることがわかった。このことから、ZnTeO混晶ではバンドギャップよりも小さいエネルギーの光によっても光電変換が行われることが示された。
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