研究課題/領域番号 |
20560013
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研究機関 | 北海道工業大学 |
研究代表者 |
今井 和明 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (40001987)
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研究分担者 |
木村 信行 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (10204984)
澤田 孝幸 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (40113568)
鈴木 和彦 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (30226500)
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キーワード | II-VI族半導体 / 超格子 / Type-IIバンド構造 / MBE成長 / 光強度変調 |
研究概要 |
II-VI族化合物半導体であるZnSe-ZnTe超格子はType-IIのバンド構造を持ち、伝導帯のバンドオフセットよりも価電子帯のそれのほうが大きいため、その光学的特性は正孔の井戸であるZnTe層の厚さに大きく依存する。1つの超格子中に2種類の厚さの異なるZnTe層を持たせることで基底状態としての量子準位を2種類実現することができ、この様な構造を我々は二重サブバンド構造(dual sub-band : DSB)と呼ぶ。この2つの基底状態を利用すれば、低い(L)方の状態を励起しながらも透過する光(以下信号光と呼ぶ)の強度を、他の光(制御光と呼ぶ)で高い(H)方の状態を励起することにより制御した。本研究課題では育成した試料のGaAs基板の一部を取り除き、文字どおりのfree standing試料を製作し、透過光特性を測定した。育成したZnSe-ZnTe DSB超格子のX線解析により設計どおりの結晶学的周期構造を確認し、低温におけるPLスペクトルよりDSB構造と長波長の短波長への波長変換効果を示すことを確認した。 光透過測定の結果、制御光の回り込みを完全に抑制しているにも関わらず、制御光を照射することによりZnSe-ZnTe DSB超格子を透過する信号光の強度増加が観測された。つまり、光による透過光強度変調がなされた。このとき、Hレベルのエネルギーと同等のエネルギーをもつ制御光の照射時に特に透過光強度が約10%増大することを観測した。Hレベルの準位は、Hレベルのサブバンドを形作る単周期超格子構造のZnTe層厚の制御により変えることが出来る。以上より、層厚制御により任意の波長の光によってスイッチのように選択的に信号光を透過させる微小デバイスの可能性を示した。一方この効果のプロセスには未だ不明な点があり、その効率も低い。データの蓄積が強く期待される。
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