研究概要 |
ディップコーターを電動ステージに固定して,試料を原料と乾燥炉の間を自由に移動できるようにすることにより,ゾル・ゲルZnO薄膜を連続的に作成できるようになった。膜の均一性および結晶性の向上をめざして,原料濃度や引き上げ速度,さらには基板洗浄方法の最適化を図り,最適な成長条件を探索した。一方,通常のゾル・ゲル法では,作成したZnOは,多結晶となるのが一般的である。水素添加効果の詳細を理解するためには,べースとなるZnOの品質が重要である。結晶の高品質化をめざして,平行して亜鉛アセチルアセトナートを原料に用いたMOCVD法による結晶成長も試みている。この合成方法の特徴は,基板にサファイア単結晶を用いることにより,容易にZnOエピタキシャル結晶が作成できるところにある。我々は,ZnOエピタキシャル薄膜をバッファー層として用いることにより,その上にゾル・ゲル法を用いて単結晶ZnOが作成できることを既に明らかにしており,MOCVD法は,ゾル・ゲル試料の結晶性向上にとって有用である。これまで水素添加は,既存の熱拡散炉を用いて行ってきたが,添加効率を上げるためには,新しいアニール技術,例えば水素プラズマの使用などを検討する必要があると考えている。
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