研究目的はLSIデバイスの高速化の鍵となる歪シリコンの定量的評価をX線回折により行うことである。方法は歪シリコンウエハの歪分布を位相コントラストイメージングを利用した放射光トポグラフィー法により調べ、局所的な歪量を逆格子マッピングの解析により調べる手法を開発することを目的としている。酸化濃縮法により濃度を高めたSiGe結晶上にSiをMBE成長させて作成した歪みSi試料と、市販の貼り合せ法による歪みSiウエーハについて、トポグラフを取りその結晶性と歪み量について調べた。 歪みSi層の厚さは30nm以下と非常に薄いので、X線の回折幅が広がるため、基板結晶にうねりや湾曲があっても広い範囲を反射法でイメージできた。貼り合せ試料では明確なクロスハッチ状の特徴あるパターンであるのに対し、酸化濃縮法によるものは異なったタイプのイメージで、作成法の相違による影響が明瞭に観察することが出来た。次に、イメージ上の特徴ある部位の像をCCD検出器で撮影し、各ピクセルでのFWHMや積分強度の強度分布を画像として可視化することに成功した。また、同様にピーク位置の差をイメージすることにより、格子の傾きやうねりを可視化することが出来、これらより歪み量のばらつきが0.02%以内に収まっていることも分かった。
|