本年度は大面積製膜を可能とするVHFプラズマ装置の設計・製作、およびプラズマ生成と基本計測を行った。装置の特徴としては、基板サイズ70cm×20cm対応で、プラズマパラメータと膜質の関係が調べられるように、静電プローブポート8箇所、四重極質量分析ポート、加熱基板挿入ポートを設け、ポートの入れ替えによりプラズマの空間分布測定ができるようにした。さらに狭ギャップ特性が得られるように、電極に可動機構を取り付けた。この装置を用いて、アルゴンおよび水素プラズマを生成し、基板全体にわたりプラズマが均一に生成できることを確認した。 次に、プラズマの高密度化のための給電法について調査した。特に我々が提案している「バラン給電法」と、通常用いられている電極の一方を接地する給電法について、プラズマと給電回路の両面から比較検討を行った。静電プローブ測定の結果、バラン給電法の方が電子密度が高く、電子温度が低い傾向にあることがわかった。また回路システムとしての電圧電流特性から、バラン給電の方が力率が高いことがわかった。しかし、バラン給電の場合整合条件が厳しくなり、整合条件を広げるための検討が必要である。 さらに、プラズマ密度分布をマイクロ波を用いて測定する方法について調査した。その結果、2-3GHzのマイクロ波を透過させ、その伝搬特性を得ることで密度分布測定の可能性が十分にあること確認した。しかし、狭ギャップ間で生成されるプラズマだけにマイクロ波を透過させることは難しく、その改善策の検討が必要である。
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