研究課題
薄膜シリコン太陽電池の発電層に利用される微結晶シリコン薄膜作製において、狭ギャップ高圧VHFプラズマを用いると高速高品質膜が得られることがわかっているが、その機構は理解されていない面が多い。本研究では、プラズマの特性を実験及び数値解析により調べ、機構の一端を解明することを目的とした。はじめに、産業界での量産装置を意識して、大面積対応(電極サイズ70cm×20cm)の狭ギャッププラズマ装置を製作し、高圧下でVHFプラズマをほぼ均一に生成できるようにした。次にプラズマの基本パラメータである電子温度・電子密度を、水素プラズマを用いて静電プローブおよびレーザートムソン散乱法により測定した。その結果、典型的には電子温度6-7eV、電子密度10^9-10^<10>cm^<-3>であった。同時にそこから得られた電子密度のガス圧依存性は、或るガス圧で極大値となる顕著な傾向があり、その機構を簡単な二つの解析式(電子によるVHFパワー吸収と電子のドリフト運動を表す式)で定量的に理解できることを示した。さらに実際のプロセスガスであるSiH_4/H_2プラズマ測定のための計測法として、加熱プローブとマイクロ波干渉計を開発し、同様の測定を行った。一方で数値シミュレーションコードを開発し、実験条件に合わせて計算を行った。両者を比較することで、数Torr程度のプラズマはバルクとシースが比較的はっきり分かれており、電子温度が高いことが水素原子の生成効率を高め、高品質膜の生成を助けている可能性を見出した。加えて、高速製膜には欠かせないプラズマの高密度化を実現すべく、新たな給電法であるバラン給電法を提案し、高密度化に加え、プラズマ電位を下げイオン衝撃を低減させるのに有効であることを示した。製膜実験の結果、バラン給電法では微結晶化率の高い膜が得られることがわかった。
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