今年度は、その場電子線ホログラフィー観察を行うために特殊形状の試料ホルダ先端部を設計・製作し、TEM試料ホルダに取り付けた。ゲート電圧の印加はタングステンの先端を化学研磨したものに白金を蒸着した針電極を用いた。TEMで観察しながらこの針電極を試料の一端にコンタクトさせ、電圧印加が可能なことを確認した。本研究では2DEGが生じる微小な位相変化をとらえる必要があり、TEM試料作成が重要である。AlInGaN/GaNを用いて様々な試料作製法を試み、それを円環暗視野(HAADF)STEMによって観察評価した結果、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)によるくさび形形状試料作製法が均一で試料ダメージを与えない、本研究に最も適した試料作製法であることが確認された。また実際のデバイス構造を持った試料による実験を考慮したTEM試料でなくてはならない。その場電子線ホログラフィーTEM試料のため、AlGaN層の上に白金によるオーミック電極とショットキー電極の構造体を形成したものを用意した。そしてCMP試料作製法によって両電極が含まれた試料を作製することができた。TEM試料作製前にインピーダンス測定をした結果、おおよそ-0.5V程度でチャネルがピンチオフすることを確認した。
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