光化学修飾法を利用することにより、ダイヤモンド粉末表面ヘリンカー鎖を介さずに直接硫黄官能基を修飾し、基材であるダイヤモンドの特性を保持しつつ、新規特性を付与することを目的とする。 当該年度においては、前年度に作製に成功した硫黄官能基化ダイヤモンド粉末の基板上へのパターン修飾について集中的に検討した。具体的には、硫黄官能基化ダイヤモンド粉末(粒径500nm)のヘキサン分散液を調整した後、金薄膜蒸着基板を作用させた。SEM観察およびXPS、Raman測定により、硫黄官能基化ダイヤモンド粉末が金薄膜基板上に均一に堆積することを明らかにした。シリコン基板を硫黄官能基化ダイヤモンド粉末分散液に作用させた場合にはダイヤモンド粉末の堆積は観察されなかったことから、ダイヤモンド粉末は硫黄官能基-金間の自己組織化反応により、基板上へ堆積されたことが明らかとなった。 さらに、マスクを利用したパターン化金薄膜蒸着基板(金スポット径100μm)を作用させ、EDS分析によりシリコン、金、硫黄および炭素各元素のマッピングを観察したところ、金スポット上へ選択的にダイヤモンド粉末を堆積させることに成功した。以上の結果より、従来数段階の手法が必要など手間がかかると言う問題点があったパターン形成の簡便な手法を開発することに成功した。 さらに、パターン化堆積ダイヤモンドを種剤として利用した、位置選択的CVDダイヤモンド成長への応用についても検討した。
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