面発光型半導体レーザ(VCSEL)光源を構成するために、初めに注入電流変調駆動回路を設計・製作し、次いでペルチエ素子による動作温度安定化装置を設計、製作した。使用したVCSELの発振波長帯は780nm帯である。光源の動作試験を実施したところ、高精度の温度・電流同時制御が可能であることを確認した。本装置を使用して電流変調を施しながらVCSELの発振波長を光スペクトラムアナライザでモニタしたところ、光周波数に換算すると約1THzの広範囲で周波数変調が可能であることが判った。この変調幅から見積もられる合成波長は約300μmとなり、干渉縞位相を1/100の精度で読み取ればミクロンレベルの測長精度は十分に期待できる。次いで光波長(周波数)マーカーとして利用するルビジウム(Rb)のD2吸収線を得るべく封入吸収セルにVCS肌出力光を入射したところ、線形吸収スペクトルは明瞭に観測できたが、より精密な飽和吸収スペクトルについては十分な明瞭度は得られなかった。その理由としてVCSELの発振スペクトル幅が飽和吸収線幅より広い点が上げられる。以上の状況より本研究では当面のところ線形吸収スペクトルをマーカーとして使用することとした。また走査幅検知用のマーカーを得るべくブロックゲージ(10mm)を使用して基準干渉計を構築した。周波数を走査して干渉縞信号を取得し、フーリエ変換法で位相解析を行ったところ、走査幅検知マーカーとして十分に利用できることがわかった。以上の結果を元に、次年度予定している同時周波数走査干渉測長計の構築を進めていく予定である。
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