研究概要 |
申請者らが提案したプラズモンギャップ(PG)プローブは,迷光が少なく低ノイズである開口プローブの長所と,高解像力を持つ散乱(Tip)プローブの長所を併せ持っている.本年度はこのプローブを解析するためのシミュレーションコードを改良した. 現在,ほとんどのプラズモン・ナノフォトニクス研究室では,FDTD法の市販コードをシミュレーションで利用している.これに対し申請者らは,体積積分方程式+Iteration法+FFTを使った高速解法(以下VIE-FFT法)に基づくシミュレーションコードを開発してきた.これまでの申請者らの結果と他研究室の論文との比較により,プラズモン・ナノフォトニクスの3次元大規模シミュレーションでは,VIE-FFT法はコード作成は面倒だがFDTD法より有用かつ精密な解を与えることが分かってきた.ドイツ・ミュンスターグループとの共同研究で行った三角錐プローブの大規模シミュレーションでVIE-FFT法はFDTD法に比べ高精度のナノ光分布を求めることができた.これはVIE-FFT法では,FDTD法で不可避な完全吸収層(PMDと数値安定条件,を考慮する必要がないことが大きな要因と考えられる. 本年度は,さらなる大規シミュレーションに適用可能なように,ソースコードの改良開発を行った.特に単精度整数しか利用出来なかったBLASの整数倍精度化,OpenMPを利用した大規模並列化を行った.
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