物質が磁場中で受ける3つの力(ファラデー力、トルク、ローレンツ力)を用い、DNAの磁気情報を反映した新しい磁気分離手法を確立することを目的とする。DNA は4つの塩基(Aアデニン、Tチミン、Gグアニン、Cシトシン)の配列が遺伝情報を担っている。しかしながら、従来の電気泳動分離は長さのみの分離であり、これらの塩基配列には無頓着であった。A=Tペアと水素結合は2本であり、G≡Cペアのは3本であることから、A=T割合の多少によって磁化率が異なる。磁化率に比例する磁気力を泳動分離に応用することにより、ATリッチなDNAとGCリッチなDNAを分離できると考えられる。本研究ではDNAが磁場中で受ける3つの力とそれらの合力について、電気泳動との関連を定性的・定量的に調査する。10T級の超伝導磁石を用い、様々な電磁環境下でDNAの電気磁気泳動を観察することによって基本的なメカニズムを解明し、DNAの磁気分離手法を確立することを目的とする。
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