1 前年度作成の同一平面型マイクロギャップバリアー放電を10個並列配置した一元アレー型放電装置を真空チェンバーに設置し、Ne+Xe(10%)混合ガスを300Torr封入して400Hzのパルス電圧で放電させた。この10並列装置のすべて点灯放電開始電圧は750Vで、最低放電維持電圧は680Vであった。この状態で放電を止め、0Vから印加電圧を上昇させ、700Vに保ち、放電していない状態でYAGレーザー(繰り返し数は印加電圧に同期した800Hzで、照射部レーザーの半径は~0.5mm)を照射させるとYAGレーザー照射部のみ放電する。実験を繰り返すと平均して700~720Vの範囲でレーザー照射により放電が誘起できた。一度放電した状態はレーザー照射を止めても維持されるので、YAGレーザー照射位置変化により点灯放電数も増加できる。レーザー照射によって任意の位置や数の放電を誘起できることが分かった。この結果は二次元マイクロ放電パネルの外部光照射による放電制御が可能であることを示している。ただ、本装置は放電開始電圧や維持電圧などに経時変化があり安定性がなく、本装置での確定した定量的な壁電位の値や実時間測定はできなかった。 2 1の結果を考慮して次の実験を行った。一昨年作成の単一マイクロギャップバリアー放電装置にYAGレーザーを照射し、そのときの壁電位の時間変化をより詳しく観測した。この観測には以前と同じくレーザー偏光分光法(筆者らによって開発)を用いた。壁電位の変化は以前明らかにした寿命が20msの主成分以外に、寿命が数10μsの小信号成分が存在することが観測された。寿命の長い成分は電気光学結晶のレーザー照射に夜非線形電気感受率変化に伴う誘電率変化によるものであるが、新たに観測された寿命の早い小成分の電位変化はYGAレーザー照射による壁電荷の変化に基づくものと考えられる。
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