本研究は、各種金属工業材料の製造時における加工ひずみの熱処理による緩和を陽電子消滅ガンマ線分析によって検出し、火災現場等に残された金属片の熱履歴を検出し、火災現場の到達温度を推定することを目的とする研究である。本年度は管状電気炉による加熱処理に加えて、パルスレーザー(20Hz、10nS)加熱処理による金属片の熱履歴検出の実験も試みた。パルスレーザーによる加熱に関してはパルス幅が短いために金属材料が蒸発してしまい加熱温度を効率よく上昇させることが困難であった。また、管状電気炉による加熱試料料においても、試料によっては、以前のバーナー火炎加熱による試料のスペクトルを再現できないものも存在した。今後は、バーナー火炎加熱による試料のスペクトルを基準にして電気炉処理の試料のスペクトルを比較する。また、真空蒸着やメッキされた金属膜に関して、加熱処理によるガンマ線スペクトル変化を検出できるかの実験をおこなう。 実験装置に関しては、2台のPureGe検出器が正対していなかったので(垂直と水平)新たに架台を新たに作成し、上下方向に検出器が正対するように改造した。
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