研究概要 |
固体高分子の中にカーボン・ナノチューブを分散させた複合材料は、元の高分子材料に比べて弾性的な強度が増す事が知られている。この複合材料において、熱伝導率の振る舞いは工学的に重要な問題である。単体のカーボン・ナノチューブは、極めて高い熱伝導率を示す一次元熱伝導体である事が従来の研究から知られているが、高分子複合材料における熱的な性質については未知の問題が数多い。 平成20年度においては,「高分子複合材料に関する熱伝導解析」という本研究課題の目的に関連して、独自の原理に基づく非平衡分子動力学シミュレーション手法に関する理論的研究を行った。並行して、高分子複合材料を数値的に取り扱う上で必要となる、系のモデル化に関する研究を行った。上記の課題を遂行する為に、高分子材料の非平衡特性に関する予備的な数値シミュレーションを行い、系の熱伝導率について定量的に明らかにした。また、高分子材料の非平衡分子動力学計算において並列化手法を適用する事により、原子数の多い系のシミュレーションにおける高速化に成功している事を確認した。
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