凝縮媒質(液体や固体)中を伝播する衝撃波に関する数理工学的研究を行うことが目的である。 平成21年度は、次の研究項目を、理論的および数値的解析手法により、研究した。 1.剛体球系での衝撃波現象の解析。 (1)ランキン=ユゴニオの関係および安定性に関する条件を明確にした。 (2)衝撃波面構造とそこで生起する不可逆現象に関する研究を検討した。 (3)気体分子の内部自由度が衝撃波現象に及ぼす影響を考察した。とくに、媒質の比熱が温度に依存する場合としない場合についてその違いを明確にした。 2.実在液体系での衝撃波現象の解析。 (1)剛体球系で得られた結果を基準として、液体物理学で用いられている摂動理論を援用しつつ、実在液体中の衝撃波現象の定量的・系統的解析を継続して行った。 (2)マッハ数が増加するにつれて密度が減少するといった新奇な衝撃波を発見した。この現象は理想気体では見られなかった新しい実在気体効果である。 3.結晶性固体における衝撃波現象。 熱振動を考慮に入れた結晶性固体中の衝撃波現象の解析を継続して行った。特に、固体の融点近傍での挙動に興味がある。
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