研究課題/領域番号 |
20560054
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
杉山 勝 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20110257)
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キーワード | 衝撃波現象 / 凝縮媒質 / 数理工学 / 非平衡・熱統計力学 / 非線型波動 |
研究概要 |
凝縮媒質(濃縮液体を含む液体や固体)の中を伝播する衝撃波に関する数理工学的研究を総合的に行うことが目的である。平成23年度は、前年度までの成果に基づき、以下の研究項目を理論的および数値的な解析手法により研究し、以下の成果を得た。 1.剛体球系での衝撃波現象の解析:ランキン=ユゴニオの関係と安定性について、熱・力学的な観点から解析し、理論的・工学的に興味ある成果を得た。波面構造における不可逆過程の新しい解析手法をまとめ上げた。それに基づき解析を開始した。 2.実在流体系での衝撃波現象の解析をさらに展開した:(1)剛体球系で得られた結果を基準として、液体物理学における摂動理論を援用しつつ、実在流体中の衝撃波現象を定量的・系統的に解析した。(2)分子間相互作用をもつ系に対して、具体的な解析結果を求めた。相互作用ポテンシャル中のパラメータに、衝撃波現象がどのように依存しているのかを明確にした。(3)衝撃波が不安定化した場合での、数値計算と理論との比較を行った。(4)新奇な衝撃波(compressive upper shock)についても詳細に研究を進め、成果を発表した。 3.結晶性固体における衝撃波現象:結晶性固体については、衝撃波の伝播挙動、そしてその反射時における固体の破壊等について研究を行った。 4.衝撃波面の前後で相が異なる場合のランキン=ユゴニオ関係式を理論的に明らかにし、衝撃波の安定性を明らかにした。Liu条件と呼ばれる安定判別法に注目した。さらに運動論的条件も考察した。 5.非線型波動(衝撃波と加速度波)の間の相互作用に関する研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初に計画した研究項目を超えた新しい展開も可能となった。それらは以下の通りである。 1.衝撃波面構造を解析するために必要な非平衡熱力学的な基礎理論を確立することに成功した。これは従来の局所平衡の仮定に基づく理論よりも適用可能範囲が広い。 2.新奇な衝撃波現象を発見することができた。 3.本研究課題について、国際会議招待講演を行った。その結果、新たな国際共同研究も開始された。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね当初計画通りに研究を推進すればよいと考えているが、上述の当初計画を超える新たな展開については、さらにその数理工学的な意義を追求する予定である。さらに、本年度は本研究課題の最終年度にあたるので,得られた成果のまとめと、残された問題、そして将来展望についても考察する予定である。
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