(1)浸透流方程式を用いた数植シミュレーション 本年度は地下水流動解析の分野で広く用いられている浸透流解析による数値シミュレーションを行った。まず、3種類の土質からなる1次元の典型的なテスト問題についての厳密解を求め、プログラムの検証を行った。それにより、格子間隔を小さくしていくことによる厳密解への収束が確認できた。 (2)土層実験との比較 M.Vauclinによって報告されている土層実験結果を用い、同様の条件で数値シミュレーションを行うことによってその結果を比較した。この実験による水分飽和度分布の時間変化とそれに対応する数値シミュレーションによる結果とを比較し、2乗ノルムを用いてその差を評価した。初期状態における水分飽和度分布の考慮の有無については、垂直方向の初期飽和度分布が結果に大きく影響した。これは主となる流れが鉛直方向であるため、その考慮の有無が水分移動の速度に大きく関わっているためと考えられる。 (3)モデリングによる比較 21年度に行ったNavier-Stokes方程式を用いた場合と、実験データとの誤差について比較を行い、浸透流方程式を用いた場合もNavier-Stokes方程式を用いた場合も、実験との誤差に大きな違いはないというという結果が得られた。当初期待していたのはNavier-Stokes方程式を用いることによって精度の向上が実現できるのではないかということだったが、そのような結果にはならなかった。これは、対象とした実験が比較的小さな領域内の地下水流れであったこととも関係していると思われる。今後の発展としては、より大きな領域での比較を行うことを検討することが必要であると思われる。
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