研究概要 |
もみがら焼成粉体として, もみがらのみを焼成したRH粉体, もみがらにフェノール樹脂を含浸して焼成したRHSC粉体, そしてシリコン樹脂を含浸して焼成したSi-RH粉体の3種類の多孔質炭素粉体を製造した. 導電特性は, RH粉体とRHSC粉体がほぼ同一の特性を示し, Si-RH粉体は体積固有抵抗率が10^2倍程度高くなった. また, RH粉体については焼成温度を600℃〜1,500℃まで変化させて測定し, 10^5倍程度の特性変化を粉体に付与することができた. さらに, 粉体の粒径は導電特性にほとんど影響を及ぼさなかった. これらの結果から, 粉体の導電特性を制御するには焼成温度を制御することが最も効果的であることが分かった. つぎに, EPDMゴムとの複合材料を製造し, 粉体配合量を変えることによって安定した体積固有抵抗率の制御が可能かを検討した. その結果, 配合量を100phr〜400phrまで変化させると, 体積固有抵抗率は10^<15>-10^2[Ω・cm]の間で安定して制御できることが分かった. また, 低密度ポリエチレンに焼成温度の異なる粉体を混合して体積固有抵抗率を測定したところ, 含浸率40wt.%〜60wt.%で10^8〜10^6[Ω・cm]程度の体積固有抵抗率を得ることができた. さらに, 大豆皮焼成粉体について導電性の測定をしたところ, もみがら中におけるSiのような絶縁性の成分がほとんど無く, 導電性はもみがら焼成粉体よりも10倍程度良かった. この特性を生かすと, もみがら焼成粉体よりも導電性が求められる際の機能性フィラーとして使用できることが示された.
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