研究概要 |
これまでに,各粉体の導電性・電磁波遮蔽性・電磁波吸収性について基本特性を把握できたことから,その結果を踏まえ,より有効に電磁波の遮蔽と吸収が可能な複合材料の製造を目指した.とくに,焼成温度・配合量・Si樹脂添加量を変えた数種類の粉体,およびその粉体を用いた複合材料を作製し,特性を評価した. ○供試材の作製;(1)粉体の製造に関しては,三和油脂(株)・日清オイリオグループの協力を得て実施した.ゴム系複合材料の製造については(株)宮坂ポリマー,そしてプラスチック複合材料の製造については,旭有機材工業の支援を得て実施した.旭有機材工業との連携では,抄紙法と呼ばれる紙すきを応用した手法を用いて,多量の粉体をプラスチック中に含有させることに成功した. ○特性評価;(1)ゴム系複合材料およびプラスチック複合材料において,粉体を70-80重量%母相中に混ぜることに成功し,10^<-1>Ωcm程度の低い体積固有抵抗率を実現することができた.とくに,プラスチック複合材料においては,抄紙法によって高い重量%の混合が実現できるようになり,目標値を達成することができた.(2)電磁波遮蔽の効果は,山形県工業技術センターおよび広島県西部講義用技術センターの支援を頂いて測定した.そして,主に100MHzから1GHzの低周波数領域における電磁波遮蔽効果について検討し,80~100dBの高い遮蔽性を実現することができた.抄紙法により多様な繊維を混ぜ合わせることが可能になったことも,目標値を達成できた要因となった. (3)電磁波の吸収特性については,鶴岡工業高等専門学校の安斎弘樹研究室の協力を得て測定した.そして,1GHzから8GHz程度の高周波数領域における電磁波吸収特性について検討し,40dB程度の高い吸収性を達成できた. 以上の結果から,これら複合材料の電磁遮蔽効果と吸収効果において,実用に耐えるまでの特性を得ることに成功した.また,本年は最終年度に当たることから,三和油脂・日清オイリオグループと協力し,粉体製造工程の効率化やどのような製品化に適しているか等の応用面の検討も進めることができた.
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