研究課題/領域番号 |
20560065
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀人 茨城大学, 工学部, 教授 (30090369)
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研究分担者 |
崎野 純子 茨城大学, 工学部, 教務職員 (40272116)
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キーワード | DLC(ダイヤモンドライクカーボン) / SRIQ(超急速加熱処理) / 複合表面処理 / 疲労寿命 / 信頼性設計 / 疲労損傷機構解析 |
研究概要 |
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)/SRIQ(超急速加熱処理超急速高周波焼入れ)複合表面改質半実体ローラーピッチング試験の結果とFEM解析に基づくシミュレーションによって、歯車のトライボロジー特性と疲労信頼性を、DLC/SRIQ複合表面改質処理によって改善し得ることを明らかにした。 (1)歯車にSRIQ処理のみ、SRIQ処理/DLC複合表面処理を施し、ローラーピッチング試験を行った。結果、SRIQ処理/DLC複合表面処理の歯車は転動疲労寿命が全荷重領域において7倍以上と大幅に向上した。 (2)試験後の破面観察の結果、SRIQ歯車、SRIQ/DLC歯車ともにピッチングを起点とした表面疲労起点型折損を示していた。SRIQ歯車は損傷の起点となったピッチングの他にも多くのマイクロピッチングが発見されたが、SRIQ/DLC歯車はマイクロピッチングの数は少なく、ミクロき裂発生源の生成が抑制されることが明らかになった。 (3)SRIQ/DLC歯車の転動疲労寿命が向上した要因は、DLC被膜の耐摩耗特性によりピッチングの発生が抑制させ、フレッチング摩耗が低減され、更に低摩擦特性により材料表面にかかるせん断応力が低減されることで、表面き裂の発生と進展が遅延されたためであると考えられる。 (4)FEM解析を用い(3)の考察を検証した。SRIQ/DLC歯車のDLC被膜の低摩擦特性から、表面に生じる摩擦力が低減したことで、材料に負荷されるせん断応力も減少する結果が得られた。 この研究から、優れた疲労強度を有するSRIQ処理と優れた摩擦摩耗特性を有するDLC被膜を複合表面改質処理することにより、小型歯車などの動力伝達部品の高性能化に成功し、実稼動環境化における複合表面改質の転動疲労特性を明らかにすることができた。
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